弁護士が教える「仕事ができる」と思わせるコミュニケーション能力獲得方法

交渉や営業はおろかコミュニケーション能力の低さから弁護士の仕事で苦労してきた筆者が教える最強人間心理攻略コミュニケーション術! 弁護士鈴木大輔(でにす・ろー)のブログ

話下手、コミュニケーション能力の低い人間はやっぱり幸せに生きられない現実

 

無意識に感じてきた劣等感に、すべての僕の意識が暗く覆い尽くされた

同期や同級生は、みな夢と希望に満ちあふれた顔で、あたらしい士業生活に入っていきました。
少なくとも僕にもそう思えた。 

そりゃ、そうだよなぁ、あいつらは話し上手も多いし、あがり症とは無縁だし。
あまり会話がうまくない奴だって、得意じゃないだけで、すぐ慣れるだろうし(特にコチラとの比較でコンプレックスが強まった)。

それに比べりゃ、俺は喋りも苦手だし、無意識で劣等感を感じて生きてきたし、やればやるほど会話で失敗ばかりして、ますます自信を失っていくだけかもしれない……他の能力では負けていないんだけどな、これがあるばっかりに…
そんな考えが永遠と頭の中で渦巻いていました。

昼も夜もその息苦しさに体のいろんなところが変調をきたしました。
もう学生時代のようなナアナア、逃げではすまされない。
そのストレスと不安は相当なものだった。

法律の知識は当たり前、いくら司法試験に合格しても、周りはそんなことが当たり前。
その上で、会話術や弁論術が決定的要素になることが多い。
夢も希望もない不安だらけの弁護士生活のスタートとなったのでした。
それにしても、ここまで思い詰めてしまった自分が嫌になるなあ。はぁ~(ため息)

 

人間力、コミュニケーションスキルがない人間は、やっぱり不幸になりやすい

不安はもっと大きな不安を引き寄せる。
坂道を転げ落ちるのはあっという間。
それまでの努力と苦労が水の泡になる。

人生は株みたいなもの。
あがるのは徐々に、でも暴落はあっというま。
まさにそれでした。

僕には会話術・話し方という滑り止めがなかった。
人生を上昇させてくれる魔法の技術。 
話し方能力欠如という致命的弱点というオイルが、精神的にズリ落ち滑るスピードを助長させていった。 

日本の弁護士は、アメリカさんほど話術、弁論術、会話術、売り込み術(営業術)が必要じゃないし、事務的に淡々と弁護士をやっていけるかもしれない(アメリカではあのころの僕は生きていけなかっただろう。間違いなくそうだ)。

だけど、先輩で会話術や弁論術が得意じゃない人は、やっぱり片隅でほそぼそ自信なく弁護士を続けている人が多かった。
クライアントもそんな人に任せるのは絶対に嫌だと思います。
(なぜなら、僕が逆の立場だったら、自信がある人に頼みたいから)

失礼だけど、僕はまだ若かったし、諦めとかいじけるとかで、すぐ老け込むのは嫌だった。
せっかくなった法曹界の世界で、能力を発揮し活躍したい野心もあった。
だけど、今の自分では現実に難しいこともどんどんわかってきた。
やることなすことすべてがうまくいかなかった。

 

うつ状態がいつまでも晴れなくなっていく

お先真っ暗とはこのことです。
景色がそれまでの色使いと違って、すべてがくすんで見えました。
大学で東京に出てきたときの希望を含んだ景色と対極にありました。
国家資格に合格した時の、晴れ晴れとした雲一つない青空なんて、僕の心象風景から消え去っていました。

話し下手のせいで人間そのものがモンスターに見えました。 
自分が小さく思えたり、社会に必要ない存在だと思ってしまったり、憂鬱な未来しか考えられない袋小路に入り込んでしまった。

同僚や同期、同級生はいろんなことを学んで、それなりに苦労しながらも前に向かって頑張っている。
なのに俺ときたら…どうも心がすっきりしない。いつも重しがのっている。
前に進むことを許してくれない。 

鬱病になりそうな不安が、たくさん心に降り積もってきた。
弁護士も、他の職業と同じくうつ病が急増していて、その手の話はよく聞きます。

それにイケイケの弁護士だった人が急にうつ病になって入院したことに驚いたこともありました。
あんな人でもうつ病になるのかと驚いたことがあります。
僕もこのままうつ病になって、気分が優れずに一生生きていくんだろうか? 

五月病じゃないけれど、僕は人よりうつ病になる可能性が強かったと思います。
ため息の連続、もう一生分のため息は確実にしました。

もともとが最も話術・弁論術が要求される職業に就いた悲劇!
自分の人生最大の選択の失敗を呪ったこともあります。

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